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2024.12.16

2025年問題と老人ホーム紹介サービスの課題

テレビニュースでも度々取り上げられている「2025年問題」。
なんとなくで理解している方も多い印象を受けますので、詳しく説明してみたいと思います。
また、2025年問題によって「老人ホーム探し」をする方にどのような影響が出てくるのか、更には老人ホーム紹介サービスとして問題解決にどのような貢献が出来るのか、というテーマでも解説していきます。

≪目次≫

1、2025年問題とは?
2、問題点①~人手不足~
3、問題点②~後継者不足~
4、問題点③~介護離職~
5、2025年問題と老人ホーム紹介サービス
6、まとめ

2025年問題とは?

いわゆる「団塊の世代」と言われる、1947年~1949年の第一次ベビーブーム期に生まれた方が後期高齢者(75歳以上)になる事で発生する様々な社会問題の事を総称して2025年問題と言います。2025年を契機に、日本の人口の年齢別比率が劇的に変化して「超高齢化社会」となり、社会構造や体制が大きな分岐点を迎え、雇用、社会保障、医療、介護・福祉等、さまざまな分野に影響を与えることが予想されています。

特に大きな問題として挙げられるのが、

・人手不足

・社会保障費の増大

上記の2点です、今回のコラムでは「人手不足」に焦点を当て詳しく説明していきます。

 

2025年問題と人手不足

少子高齢化社会と言われて久しい日本ですが、2025年を契機により深刻な事態になる事が想定されています。

内閣府が公表している「令和4年版高齢社会白書」(外部リンク/PDF)によると、2025年には75歳以上の後期高齢者人口が2,180万人、65~74歳の前期高齢者人口が1,497万人に達すると予測されています。国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上となる計算です。

一方で少子化は止まらず、総務省が公表した資料「我が国のこどもの数」(外部リンク/PDF)によると2023年4月1日時点での日本の総人口に占める子ども(15歳未満)の割合は11.5パーセントと、49年連続で低下しています。

上記のとおり、日本国民の約3人に1人が65歳以上となる中で、今後の日本を支えていく若者世代の比率は減少し続けているという極めて厳しい状況にあるといえます。

こういった状況下で発生している具体的な問題点を説明します。

労働力人口の減少

上述の通り、高齢者人口が増える一方で生産人口(15歳以上65歳未満の人口)が減少しており、働き手が不足する事で下記のような様々な問題が発生しています。

働き手不足による事業縮小や事業廃止

⇒中小企業や家族経営の事業者にとっては、働き手を確保する事が非常に難しい時代になっています。特に介護業界は他の業界と比べて賃金水準が低く、また業務内容も肉体的及び精神的にも負担が大きい事もあり、働き手の確保が難しいと言われています。実際に、新規の採用が上手くいかずに廃業を余儀なくされる事業所や、新しく老人ホームの運営を開始したが人手が足りず、新規の入居者の受入を意図的に停止しているような事業者も散見されます。
介護業界以外でも、飲食業界や運送業界などの一般的に人気度の低い業界は総じて人手不足問題が顕著であり、ニュース等でも連日取り上げられているのはご承知のとおりかと思います。

人材獲得競争激化に伴う採用コストの増大

最近の就職・転職市場の動向としては、人材を求める売り手である企業の求人数が多く、買い手である就職候補者が少ない状態であるいわゆる「売り手市場」と呼ばれる状況であり、企業側は人材を確保する事が難しい状況にあると言えます。求職者が多い「買い手市場」であれば、求人広告を掲載したり、ハローワークに求人登録をしておけば採用出来るかもしれませんが、現状はそれだけの対策で人材確保を実現している企業は少ないと想定されます。
そこで近年急増しているのが、いわゆる人材紹介サービスです。求職者をポータルサイト等で募集し登録企業等へ紹介し、実際に入社に至ると成功報酬として手数料を請求するといったビジネスモデルです。このサービス自体に問題はありませんが、近年注目されているのが手数料金額の高騰です。介護業界を例にすると、介護職(介護福祉士)を人材紹介経由で採用をすると、100万~150万程度の手数料が必要です。また看護職(看護師)を人材紹介経由で採用すると、150万~200万程度の手数料が必要です。
※一般的な人材紹介会社の報酬設定、想定年収の30%~35%から概算した金額です、事業者によって報酬設定が異なるので参考値としてご認識ください

更に、最近は「転職」が当たり前の時代という背景もあり、人材紹介会社を利用し高額な手数料を支払って職員を採用しても、その職員が長く働いてくれるという保証はありません。
※一部の悪質な人材紹介会社において、求職者に意図的に入社・退職を繰り返させる事で手数料を複数の運営会社から得ようとするような事案もあるらしく、業界内では危機感と問題意識が増大しています。
多くの運営法人にとって、採用コストは経営上でも大きなウエイトを占める課題になっていると言えます。

2025年問題と後継者不足

日本全体の高齢化が進むことで、当たり前ですが企業経営者の高齢化も同時に進んでいきます。
2025年までに、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者未定と言われています。つまり、現状の高齢経営者が現役を引退すると、日本企業の1/3が廃業になる可能性があるという事です。全ての該当企業が廃業になる事はあり得ませんが、万が一を想定(多くの中小企業・小規模事業者が廃業した場合)すると、最大で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があると指摘されています。

後継者問題を解決する選択肢としては

親族内承継
社員への承継
社外から経営者を招致
M&Aによる事業譲渡
廃業

上記の選択肢が挙げられますが、それぞれにメリット・デメリットがあり容易に決められる事では無いと言えます。2025年を契機に、より多くの中小企業が事業継承の問題に直面する事が想定されます。

介護業界は比較的新しい産業である事から、経営者の年齢層も他業界に比べると比較的低いと想定されます。そのため、直近で後継者問題による問題が大きく表面化する可能性は低いと考えていますが、中小企業が多い事からも長い目で見ると大きな課題である事は間違いありません。

2025年問題と介護離職

介護離職とは、「家族や親族の介護によって仕事との両立が困難になり、やむを得ず離職してしまう事」とされています。最近のニュース等でも「ビジネスケアラー」という言葉が多く取り上げられている印象です。直近の介護離職の状況とその問題点について説明していきます。

介護離職の現状

⇒総務省統計局が公表している「令和4年 就業構造基本調査結果」によれば、介護者(介護をする人)は日本全体で約629万人おり、そのうち約365万人は有業者とされています。つまり、家族等の介護を抱える人のうち、半数以上は仕事と介護を両立しているということです。

そして、介護・看護による離職者数は、2022(令和4)年の1年間で10万6,000人にものぼります。この数値はここ数年それほど大きな動きはなく、平均して10万人前後が毎年介護離職に至っているとされており、今後もこの数字が減少していくという見込みは現時点でありません。

2025年問題に直面する中、このまま何ら対策を講じなければ、介護離職者は今後ますます増えていくと考えられます。

(参照:総務省統計局『令和4年 就業構造基本調査結果 』)

介護離職が起こる原因

介護離職が起こる一番の原因は、仕事と介護の両立による実質的な負担の増加にあるといえます。フルタイムで働く人にとって、それまでと同等の業務負担を背負うなかで、新たに家族介護の対応が加われば肉体的にも精神的にも大きな負担になる事が容易に想定でき、個人の努力だけではどうしても無理が生じてしまいます。

その状態で、勤務先の労務環境がうまく対応できなければ、やがては介護離職へと至ってしまうでしょう。厚生労働省の委託によって行われた「令和3年度仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業」によれば、介護離職の理由として次のようなものが挙げられています。

介護離職の理由となった勤務先の課題
・勤務先に介護休業制度等の両立支援制度が整備されていなかった
・勤務先に介護休業制度等の両立支援制度を利用しにくい雰囲気があった
・勤務先の介護休業制度等の両立支援制度の利用要件を満たしていなかった
・代替職員がおらず、介護休業制度等の両立支援制度の利用ができなかった
・職場の労働時間が長い、深夜勤務・シフト勤務があるなど、労働時間に問題があった

回答結果では、介護休業制度などに職場が対応できなかったことが、介護離職の主な原因とされています。また、「代わりのメンバーを見つけられない」「もともとの労務環境に課題があった」などの要因も大きく関係していることが明らかにされています。

2025年問題と老人ホーム紹介サービス

上述したように、多くの問題が懸念される2025年問題ですが、当社が提供する老人ホーム紹介サービスにどのような影響が想定されるのか、またどのような点で問題解決に貢献が出来るのかを説明していきます。

老人ホーム紹介サービスへの影響は?

要介護者が増え施設探しのニーズは増える

⇒後期高齢者が一気に増える事で、必然的に要介護状態となり介護保険サービスを利用される方、在宅での生活が難しくなり高齢者施設への入居を検討される方が今後20年程度は増え続けると想定しています。

在宅(自宅)での生活が難しくなった方の転居先としての選択肢は、
・公的高齢者施設(特養、老健、介護医療院)
・民間高齢者施設(有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム等)
・病院
上記のいずれかになりますが、、

公的施設
入居要件が厳しく待機者がいてすぐに入居出来ない、また今後も大きくは運営棟数が増えない

病院
治療が目的の施設であり長期入院は原則出来ない、療養型病院は長期入院が可能な場合もあるが生活の場では無いので終の棲家として適しているかは疑問が残る

上記の状況を踏まえ、民間の高齢者施設への入居希望が増えると想定しています。

老人ホームの運営棟数が増え施設探しの難易度も上がる

⇒老人ホーム入居希望者が増える事で、受け皿となる民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も今後10年程度は増え続けていく想定です。運営棟数が増える事は、入居検討者にとって選択肢が増える事に繋がるのでメリットと考えられますが、逆に最適な選択肢を見つけるにはより多くの施設情報を把握して比較検討する必要がある為、最適な施設探しの難易度は上がるとも言える状況になります。
つまり、老人ホーム紹介会社には、常に最新の老人ホーム運営情報を把握した上で、入居検討者毎に最適な施設探しをサポートする事が求められます。

ダメな老人ホームが淘汰され事業譲渡や廃業が増える

⇒新しい老人ホームが増える一方、競争に負けて淘汰される運営事業者も増えていくと想定しています。これには上述した「働き手不足・採用コストの増大」が大きく影響してくると考えています。老人ホーム運営においては、いきなり廃業(老人ホームの運営が止まる)というケースはほとんど無く、次の運営事業者が老人ホームの運営をそのまま引き継ぐケースが一般的です。ただし、運営法人が変わる事で施設の名称や方針が変わったり、サービス内容や料金設定が変わる事で退居および転居を余儀なくされるリスクは否定できません。老人ホーム紹介サービスを提供する事業者としては、入居後も安定した生活を送っていただける施設を紹介する事も求められると考えています。

opsol高齢者・ケア住宅紹介サービスが貢献出来る事

より誠実で中立な紹介サービスを提供し業界の規範となる

⇒今後、老人ホーム紹介サービスのニーズが高まり、新規参入の事業者も益々増えると想定されます。そんな中、ネットニュースでは一部の紹介事業者の実態(高額な手数料の請求や人身売買と揶揄されるような対応)が取り沙汰されており、サービス利用者の不安を煽っているような状況も見られます。全ての老人ホーム入居を希望される方に、安心して老人ホーム紹介サービスを利用していただけるよう、業界の規範となる「誠実で中立」なサービス提供を今後も徹底し、業界の健全化に貢献していきたいと考えております。

介護離職を減らし日本の労働力不足解消に繋げる

⇒介護離職は「家族介護」を行う事で発生します。つまり、老人ホーム入居という選択肢を選べば介護離職は原則発生しないと言えます。
自宅で介護をしたい、家族で介護をしたいと考える方には該当しませんが、介護離職をする方の多くは必要以上の責任感や義務感で家族介護を選択し、結果的に望まない介護離職に繋がっているケースも多いように感じます。
多くの方が、老人ホームは「費用が高額・すぐに入れない・入居基準が厳しい」といった旧態のイメージを持たれていると実感しています。公的施設と民間施設の違い、また実際の料金設定や入居基準、更には受けられるサービスや施設毎の特徴などリアルな老人ホーム情報を知ってもらう事で、在宅介護・家族介護では無く「老人ホーム入居」という選択肢を持って欲しいと考えています。
老人ホーム紹介サービスの認知度を上げる事で、日本の介護離職という大きな社会問題の解決にも貢献していきたいと考えております。

※こちらのコラムもご参照ください「老人ホーム紹介サービスの特徴と3つの選ぶポイント

まとめ

目前に迫った2025年問題、複数の難しい課題があり解決は容易では無いように感じます。まずは多くの人が正しい情報を認識し、自分たちに出来る事は無いかを考え、そして行動に移していく事がとても大事だと感じます。opsol高齢者・ケア住宅紹介サービスも、微力ながら2025年問題の解決に少しでも貢献出来るよう真摯に取り組んでまいります。

 

≪著者情報≫

石津 和幸(イシヅ カズユキ)
opsol高齢者・ケア住宅紹介サービス代表

西日本で唯一、「老人ホーム探しの専門家」として大手新聞社主催のメディアサイトに登録されている、高齢者・ケア住宅探しのプロフェッショナル。
中立・誠実」を理念に掲げ、業界の健全化推進にも取り組んでいる。