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2024.10.19

老人ホーム紹介会社届出公表制度のご紹介

民間の老人ホーム(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅等)の急増に伴い、近年増え続けている「老人ホーム紹介サービス」ですが、実は厳格な法整備等がまだ追いついていない新しいサービスでもあります。そんな中、業界の健全化を推進する団体と届出制度の運用が始まっておりますので、今回はこちらをご紹介します。

≪目次≫

1、高齢者住まい事業者団体連合会とは?
2、紹介事業者届出公表制度とは?
3、最新の届出紹介事業者の状況
4、届出公表制度の活用方法と注意点
5、より良い紹介事業者を見つける為に

高齢者住まい事業者団体連合会とは?

高齢者住まい事業者団体連合会(高住連:こうじゅうれん)とは、
高齢者向け住まい(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅)の共通課題に取り組む事を目的として設立された業界団体です。
主な運営母体としては、
公益社団法人全国有料老人ホーム協会
一般社団法人全国介護付きホーム協会
一般社団法人高齢者住宅協会
などがあります、公益社団法人が母体となっている点は利用者目線で考えても大きな安心材料になっているかと感じます。
他にも同団体の活動目的として
・高齢者向け住まいの入居者に対する介護、医療等のサービスの提供のあり方の調査研究
・地域包括ケアシステムにおける高齢者向け住まい・サービスの地位の確立・向上
・高齢者向け住まいの従事者の確保と育成
といった内容が掲げられています。

また同団体の活動内容としては
・高齢者向け住まいとサービスのあり方について、広く社会に対して積極的に発信する。
・介護保険・医療保険の制度改正・報酬改定について、高齢者向け住まい業界の意見を集約して、関係当局と積極的に調整する。
・医療、看護、介護等の事業者団体・職能団体などと連携を深める。
・地域包括ケアシステムの推進に貢献するため、高齢者向け住まいとサービスのあり方について調査研究を行う。
・高齢者向け住まい従事者の確保のための取組みや、人材育成のための研修を行う。
上記内容がホームページにて記載されています。高齢者向け住まい(有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等)に関わる業界や団体、運営会社の健全化と発展を推進しようとしている団体であると言えます。

紹介事業者届出公表制度とは?

紹介事業者届出公表制度とは、高住連が定める届出公表制度に同意し届出手続きを行った老人ホーム紹介事業者の届け出情報を、高住連ホームページ内にて一般ユーザーに公表する制度です。
届出を希望する事業者は、以下の「行動指針」と「6つの遵守項目」に同意する事が求められます。

行動指針

高齢者向け住まいの相談・紹介にあたっては、入居検討者の心身の状況や希望に沿って、その方にとってのふさわしい住まいや暮らし方を公正・誠実に提案し、利用者にとってのベストマッチが実現されることを目指します。

遵守項目

  1. 紹介事業者は、入居検討者に対し、地域の高齢者向け住まいの一部から紹介している場合には、その旨(すべての高齢者向け住まいから紹介しているわけではないこと)を説明します。
  2. 紹介事業者は、高齢者向け住まいと、紹介手数料の支払いルール(紹介案件の有効期間、短期契約終了時の手数料返金、複数の紹介事業者からの紹介重複時の取り扱い)を明確にします。
  3. 紹介事業者は、個人情報保護の指針を定め、個人情報保護の取組みを行います。
  4. 紹介事業者は、苦情が発生した場合に、その解決に努めます。
  5. 紹介事業者は、介護保険法その他の法令を遵守します。
  6. 紹介事業者は、反社会的勢力でないことを表明します。

※上記内容は高住連のHPから引用しております

これらの条件を満たし、年に一回の届け出申請を行う事で「届出紹介事業者」として登録情報が公表されます。
公表制度を活用する事で、
・老人ホーム紹介事業者:知名度のある業界団体に届出をした事業者として信頼感をアピール出来る
・老人ホームを探す利用者:自分に合った紹介会社を見つける参考情報となる
上記のメリットが想定されます、また悪質な紹介事業者を排除する事にも期待が出来そうですが、現状はまだまだ課題点が多いように感じます。※4.届出公表制度の活用方法と注意点で説明

 

最新の届出事業者の状況

2024年10月現在、
・日本全国の届出事業者数は、485事業者※法人、個人事業主含む
・大阪府に事業所がある届出事業者数は、99事業者※インターネット上のみでサービス提供する事業者含む
・大阪市に事業所がある届出事業者数は、64事業者※opsol高齢者・ケア住宅紹介サービス含む

上記のような届出状況となります、全国展開をしている大手事業者から個人で運営している小規模事業者まで幅広い老人ホーム紹介事業者が届出事業者として登録されています。
また最近は、フランチャイズ展開をされている事業者や、他業種からの新規参入も相次いでおり、まさに玉石混交の乱立状態といった状況です。

 

紹介事業者届出公表制度の活用方法と注意点

老人ホーム紹介サービスを提供する事業者にとっても、自分に合った老人ホーム紹介会社を探したい利用者にとっても有益な高住連の紹介事業者届出公表制度ですが、正しく活用するにはいくつかのポイントと注意点があるのでご紹介します。

老人ホーム紹介サービスを専門的に行っている事業者か?

⇒届出事業者にもそれぞれ特徴があります。特に注目して欲しいのが「老人ホーム紹介」に対して真剣に取り組んでいる事業者かという点です。利用者に有益な老人ホーム紹介サービスを提供するには、「介護業界・医療制度・高齢者施設・障害福祉サービス・行政福祉サービス等々」の知識が必要です。また最適な老人ホームを選定するには、「地域の老人ホームの情報」を把握しておく事、老人ホーム運営会社との関係性を構築する事が必要で、これは一朝一夕で出来る事では無いと考えられます。真剣に老人ホーム紹介サービスに向き合っている事業者か、片手間でやろうとしている事業者かを見極める必要があると感じます。

求めているサービスを提供してくれる事業者か?

⇒老人ホーム紹介サービスには、「対面型」/「WEB型」といったサービスの提供方法に大きな2つの種類があり、提供されるサービス内容には大きな違いがあります。また「対面型」の事業者でも提供するサービスの内容と質には差が生じています。
具体的には、
・対面での相談受付
・候補施設の提案
ここまでは「対面型」の紹介サービスであれば対応してくれると想定できます。しかし、
・見学日程の調整、予約対応
・見学時の同行、送迎サービス
・ケアマネジャーやメディカルソーシャルワーカーとの連携対応
・引越し業者手配等の転居準備サポート
・市役所などへの行政手続きサポート
こういった付加価値の高いサービスは提供していない「対面型」の事業者も多いです。もちろん「WEB型」のサービスではこういった直接的なサービスの提供は期待出来ません。
ご自身が求めているサービスを提供してくれる事業者かそうでは無いのかの見極めも重要だと感じます。

利用者目線で紹介サービスを提供してくれる事業者か?

⇒この点が最適な老人ホームを探す上では最も重要なポイントになります。現状、老人ホーム紹介事業者に対する厳格な許認可制度や届出制度は無く、誰でも勝手に紹介サービス事業を開始出来てしまう状況です。その為、モラルの低い事業者は利用者(老人ホームを探す本人及びその家族)の利益よりも自分たちの利益を優先出来てしまいます。具体的には、利用者の希望や身体状況に適した選択肢では無く、事業者にとっての利益(手数料を多く払ってくれる、系列会社が運営の施設等)が大きい選択肢へ斡旋出来てしまうという事です。これは実際に業界内で少なからず横行していると認識しており、業界全体の信頼性を損ねる非常に大きな問題であると個人的にも危惧しております。
この問題は「会社の規模や知名度」とは関係が無いので、一般の利用者が事前に調べる事も難しい問題だと感じます。

※高住連が推奨する「行動指針&遵守事項」が徹底されればこの問題は解決します、ただし現状は事前審査や運用状況把握等の取組が無い為、モラルの低い事業者も届出済み事業者として情報公開されているのが実情だと想定しています。実際に、高住連にもモラルの低い事業者に対する通報やクレームの連絡が入っているとの情報も聞いています。上記のような利用者に不利益が生じるリスクを無くせるよう、また業界の健全化を推進するよう高住連には頑張って対策を講じてもらいたいと感じます。

上記のポイントを把握した上で、高住連の紹介事業者届出公表制度を有効に活用してください。

より良い紹介事業者を見つける為に

色々と課題も多い老人ホーム紹介サービス業界ですが、一般の利用者がより良い老人ホームを探すには専門の老人ホーム紹介サービスを利用した方が良い事は間違いありません。
なぜならば、老人ホームの運営棟数は年々増え続けており、また老人ホームの種類も多く提供されるサービス内容も施設毎にそれぞれ違う事から、介護保険制度や老人ホーム関係の知識が無い方が自分に合った老人ホームを探し出す事は極めて難しい状況と言えるからです。
最適な老人ホームを見つける為には、最適な老人ホーム紹介サービスに相談する事が重要です。
最後に、より良い紹介事業者を見つけるポイントをご紹介します。

運営会社は信頼出来そうな法人か?

⇒介護、医療、障がい福祉などに関わっている法人であれば紹介サービスと親和性は高いと考えられます。また会社の規模やホームページの有無等も見極めるポイントです。

紹介サービスの実績はあるか?

⇒前述したとおり、誰でもサービス提供事業者とアピール出来てしまう事もあり、片手間で紹介サービスを提供している事業者も少なくありません。ホームページやGoogleマップ等で、紹介実績やサービスを利用したお客様の声などが掲載されていればプラスの判断材料になります。

利用者目線での対応が期待出来そうか?

⇒見極めるのが難しいポイントですが、会社の理念や業界内の評判、また実際にサービスを利用した方のコメントなどが判断ポイントになります。会社や代表者の考え方や方向性をホームページで確認したり、地域のケアマネジャーや地域包括支援センターで評判を聞いてみたりしても良いかもしれません。また中立な紹介を実践するには、より多くの施設運営会社と連携する必要があります。高住連の届出情報にも「提携法人数・紹介可能施設数」が掲載されているので一つの目安にはなると感じます。※「WEB型」のサービス事業者や一部の事業者で中身の無いと想定される数字(1,000法人10,000施設等)を掲載しているケースも散見されるのでご留意ください。

信頼出来そうな担当者が在籍しているか?

⇒運営法人が信頼出来ても、実際にサポートをする担当者が信頼出来る人柄で無いと、適切なサービス提供が期待出来ない可能性があります。特に「個人の営業成績や売上ノルマ」などを優先する担当の場合、利用者目線では無く担当者の都合が良い選択肢(手数料金額が多い等)に無理やり斡旋されるリスクがあります。担当者の適性を見極めるポイントとしては、
ホームページやパンフレット等に顔出ししている場合はプラス材料
介護・医療・福祉関係の資格や職歴があればプラス材料
特定の施設への入居を無理に勧めるようならマイナス材料
紹介出来ない施設が多いようならマイナス材料※利用者が自分で調べた施設や自宅近くの施設見学を希望しても対応してくれない等

上記のような点に注意しながら、ご自身に合った老人ホーム紹介サービスを見つける事で、より最適な選択肢(老人ホーム・高齢者住宅等)に出会える可能性が高くなります、是非参考にしてください。

※こちらのコラムもご参照ください「老人ホーム紹介サービスの特徴と3つの選ぶポイント

≪まとめ≫

高住連の紹介事業者届出公表制度は、自分に合った老人ホーム紹介事業者を探すのに有用な制度となります。
今後、モラルの低い事業者が淘汰されていく事に期待しつつ、老人ホーム探しが必要な際は是非参考にしてください。

 

≪著者情報≫

石津 和幸(イシヅ カズユキ)
opsol高齢者・ケア住宅紹介サービス代表

西日本で唯一、「老人ホーム探しの専門家」として大手新聞社主催のメディアサイトに登録されている、高齢者・ケア住宅探しのプロフェッショナル。
中立・誠実」を理念に掲げ、業界の健全化推進にも取り組んでいる。